【this and that】SASSAFRAS ニッチ過ぎるルートビアが主役のパンツとは
前回、2つのポケットが象徴的なM-43をベースにしたPlant Maker Pantsを紹介しました。そのブログを書きはじめてから2つポケットのショーツばかり穿いており、小分けて無いのが良いんじゃないか!と実感しています。
わたしは左前ポケットに財布、左前ポケットに小銭入れ(最近はイヤホンケースも)、左後ろポケットにバンダナ(ハンカチ)、右ベルトループに鍵をつけていますが、その先っちょは右側の前後どちらかのポケットに入れてガチャガチャしないようにしています。その前ポケットに財布類を入れる癖は海外旅行や出張などで盗まれちゃいけないという危機感からで、財布でポッコリしてしまっても入れ続けています。バンダナはこの業界に入ったばかりの時に、友達に「洋服屋はこうするもんだ」と教えられて、それが慣習化し、今でも守っています。
2つポケットではそれが合わさっていますが、左側はバンダナが財布の位置を固定してくれて、右側の小銭入れやイヤホンケースは、あちこち行っちゃいそうですが、だいたい中央に集まっています。
今回は、そんな使い慣れた2ポケットのパンツの別バージョン "Rooter Pad Pants" です。
デザイナーからの情報では、ポケット部分はカーゴパンツの定番M-65タイプが元になっているとのことです。わたしの2ポケットのショーツも(同じじゃないけれど)このタイプです。深いプリーツが2箇所に入っているから容量はかなりのもの。そして、この容量がアップしたのは "飲むサンロンパス" とも揶揄されてしまうルートビアを入れる用になっており、フラップの上にはルートビア缶をストンと入れられる穴も開けてあります。
そんなルートビアのオリジナルはネイティブアメリカンのレシピから伝来したそうです(その内容が米国議会図書館の資料に残っているらしい・・・)。また、調べてみると ルートビア誕生の話は諸説あるようです。ひとつはチャールズ・ハイアズという人が菓子店で働いている時にインスピレーションを受けて発明した説があります。別の説では、彼が父親の農場で働いている時に開発したもの、新婚旅行中にレシピを発見した説、また、彼が死亡したあとに、ラッセル・コンウェル牧師という人が、ハイアズ氏にある飲料を調合して欲しいと依頼した説などもあります。全く違う説では、サミュエル・L・ルート氏がモルモン教徒の恋人のためにノンアルコールビールとして作った話もあります。こちらでは彼の名前にちなんでルートビアになったそうです。どちらも数種類のハーブが調合されており、当初は植物のササフラスが材料として使われているそうです。
そういえば、沖縄のA&Wで飲み放題のルートビアをガブ飲みしたことがありましたが、さすがにキツかったですね。今後もルートビアを飲む機会がほとんどなさそうなので、真偽不明のまま、これ以上深掘りはしませんよ。
話が脱線してしまったが、2ポケットパンツのお尻のカタチがはっきり出やすい問題(勝手に名付けてますが)というのがありまして、こちらのパンツはPlant Maker Pantsとは違った方法で解決しています。それは、ハンティング用のパンツで見られるヒップパッチの仕様です。ヒップの上側を走るステッチ、足の根本(お尻側)の斜めに入るステッチがお尻のコンシャス感を完全に排除してくれています。その、パッチに使われている裏側の生地は黒いスレキです。これは初期のSASSAFRASのタイガーカモフラージュシリーズに使われていたスレキと記憶しています。
そのタイガーストライプ柄に関してですが、黒場の多い初期タイプとのことでした(デザイナー談)。そんなタイガーカモフラージュは米軍では正規に使用されていない謎多き柄です。こちらもルートビア同様に諸説あるようです。それを「ああでもない」「こうでもない」言っているのが楽しいんですね。そのひとつ、元々、南ベトナム正規軍で採用されたのを受けて、一部の米軍特殊部隊でも着用されたらしいのです。しかし、南ベ〜の軍服は小さいため、米軍用に生地を作らねばなりません。その生地は日本や韓国で作らせていたそうで、米軍で使われた初期柄は日本で作られていたと言われています(わたしの "にわか調べ" レベルですけど)。つまり、シャケが北側を回遊してきたように、初期タイガーストライプ柄は南側を回遊して、SASSAFRASとして帰ってきたワケですね。
さて、今回の生地はムラ糸を使用したツイル生地です。これは経年変化によりカモフラージュ柄が掠れていい具合に筋が出てきます。デニムで言うインクとインディゴの違いのように、染み込んだプリントと差別化されるような、ある種 "たて落ち" 的な掠れ方をしてくれます。
最後にシルエットは緩やかなテーバードです。わたしは少し太めでバギーパンツっぽく穿きたいですね。ジャストだと大人びた安心シルエットになり、サイズ選びによってイメージが変わるパンツです。そこも軍パンらしい特徴だと思います。