【this and that】袖がシャツで身頃がカットソーが、2024年 とっても新鮮に感じる話

【this and that】袖がシャツで身頃がカットソーが、2024年 とっても新鮮に感じる話

 

こちらのブログ(this and that)でUNRIVALEDの「Sawon Parka」を取り上げたと思っていたら、YouTubeのみのアップでしたね。先日、「Sawon Parka」をYouTubeで取り上げた時は、とても楽しかったんです。なぜかというと、それはスウェットパーカーの配色使い、袖口のオレンジリブ、ネーム使いにフードのプリント・・・「ごった煮」状態だと思いきや、その仕上がりがとってもさっぱりしていて、いままでのルールを打ち破るカジュアルファッションのストリート感、これは90年代に流行ったカウンターファッションですけど、それが巡り巡って、いちジャンルを形成していたことに気付いたからです。つまり、年を重ねて安定したスタイルを生み出していたワケです。

 

今回紹介するTSというのも、別のこなしでカジュアルをぶっ壊しています。それは袖がシャツで身頃がカットソー・・・

しかし、これ普通じゃん?って思いますよね?

わたしも、よく見かける「こなし」と思っていのですけど・・・いやいや、最近ほとんど見かけません。

それは、最近のカジュアルデザインの手法が変わっていました。元となる(誰もが知る)洋服があって、そこにカスタムを施す考え方になっているんです。だから、袖がシャツ、身頃はカットソーは、今だとトゥーマッチなのかもしれません。(もちろん、ナチュラルっぽいブランドとか、デザインの自由度が高いジャンルでは、存在すると思います)

 

こうしたシャツとカットソーのミックスは80年代のDCブランドブームの名残とも思っていました。ただ、当時のDCはデニムとは水と油だったし、これらがカジュアルのシーンに降りてきたのは90年代中頃、まさに、UNRIVALEDのデザイナー倉田氏がELTのデザインでバリバリ活躍していた頃です。わたしみたいなアメカジ少年といいますか、昔のセレクトショップマインドが抜けない人からすると、こうしたデザインを取り入れるって、なかなか高いハードルだったんですよね。自分の軸がズレてしまいそうで・・・

でも、キャットストリートのユナイテッドアローズ(詳しい店名はわすれちゃいましたけど)で、ギャルソンシャツを売り始めたわけです。これは私でも買っていいのかもって思いました。私の場合、結局あまり着なくて手放しちゃいましたけど・・・

そのタイミングあたりから、日本のデザイナーズブランドとコンサバなファションが融合が始まった気がしています。もちろん、その前のパンクムーブメントや、コムデギャルソンの縮絨素材も、ここまでの布石として大きく影響しています(まぁ、この辺は詳しくないため、これ以上は触れませんが)。

 

こちらのTSは袖がグレンチェックのダブルガーゼ素材を使用しています。身頃はコットンのパイルジャージ素材です。この柔らかい二つの素材を融合させるのも、テロテロになったり、なかなか仕上がりが軟弱になって難しいんですよね。でも、ふんわりとしたスモックのような、シャツジャケットのような使いやすさです。そのため、デザインした服のようには感じません。ここがUNRIVALEDの上手いところですね。流行の捉え方が、その目線が、他のブランドと全く違う感じです。特に2004年の今はそうでしょう。

並びが居な過ぎて、このUNRIVALEDが生まれるセオリーがわかりませんが、トレースする人が現れた時、この考え方が紐解かれるのかもしれません。

それまでは、まさにライバル無し=UNRIVALEDですね。

 

そういえば、フードスウェットのパーカー部分の最後にはこう記されていました。「EVERYTHING SHOULD BE MADE AS SIMPLE AS POSSIBLE, BUT NOT SIMPLER(すべてはできるだけシンプルにする必要がありますが、シンプルにする必要はありません)」そうです、こなしはシンプルじゃないんですけど、仕上がりの雰囲気は非常にシンプル・・・これぞ、わたしのアパレルのお師匠さん倉田氏の言葉と実行なのでした。

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