【this and that】止水ファスナーの登場でアウトドアブランドのハイテク化が進んだ気がするって話
今回紹介するArroというバックパックは誰もが知っているアークテリクスのエポックメイキングですね。このバックパックの登場で止水ファスナーの良さを知った方も多いのではないでしょうか?
当時でもファスナー剥き出しなのに、濡れても全然問題ないって触れ込みのバッグは珍しかったと思います。パタゴニアのブラックホールがいつ頃からあったのか?は知りませんが、わたしが知る ”この手の” バックパックはブラックホールより前で、こちらのArroで初めて知りました。
そんなアークテリクスというブランドを知ったのは、95年くらいでしょうか? スタイリストの友達からの電話がきっかけです。(アウトドア事情に精通している)その友人によると、神保町のアウトドアショップで、あるバックパックがセールになっているから買ってくように!という連絡でした。
わたしは彼の言われるがままに、神保町に足を運んで、そのバックパックを購入しました。それはARC'TERYXのmiuraというモデルで、昔ながらのブルーのナイロンキャンバス素材のバックパックでしたけど、形はかなり特徴的です。上段の左右に円弧を描くようにファスナーがあって、どちら側からも荷物が取り出せるようになっています。たぶん、バックパックにナイロンテープで洋服を固定した際、していない側からのアクセスがしやすいようにとの配慮だと思います。また、中心には取っ手が付いていて、手提げとして持つことも可能ですけど、持っている様は、あまり良くないんですよね。
わたしはこの珍しい形のバックパックをとても気に入りました。ガチアウトドアなんだけど、カナダのブランドというのも新鮮でした。だから、国内外の旅行へは、このバックパックを背負って行くことが多かったです。
それから1年くらい経過したでしょうか?
ここで止水ファスナーが中心を走る・・・このバックパックが市場に出回ります。いままでは撥水や、ファスナーにフラップが付いていることで浸水を防いでいたのですけど、こちらは逃げも隠れもしない「雨、水、ドンと来い!」スタイルです。そもそも、雨を気にしないアウトドアマンなスタイル、また雨でも傘をささない欧米人スタイルな雰囲気ですから、このラフなシステムはとってもカッコよく感じます。
そんなことで、アウトドアファンも、ガジェット好きも、このバックパックをとりあえず背負ってみるって方が多かったと思います。だから、すぐに定番バックパックとして世に広まりました。
急にハイテクノロジーに振り切ってしまったアークテリクスでしたから、わたしが持っているmiuraというモデルのアウトデイト感がひときわ目立ってしまいます。そのため、このお気に入りのバックパックはそのまま封印されることになりました。
同じ頃、アークテリクスからは止水ファスナーを使ったマウンテンパーカーもリリースされ、ちょっとした話題になっていました。ちょうど、ムーンストーン(マウンテンパーカーが有名)が終焉を迎えつつあった頃で、その空席にアークテリクスがスルリと座ることが出来たのだと思います。
そんなわたしも、止水ファスナーを使ったこのマウンテンパーカーを着たいなぁなんて思っていました。いち早くハイテクノロジーを感じたかったですからね。アメリカに行ったときに、わたしサイズの大きめを試着するのですけど、これがまた本格的なシルエットで全く似合いません。着丈は短くて、裾も細いです。その時は、諦めるのですけど、ハンガーにかかっていると、やっぱり着たくなって、もう一回試着するのですが、結局、似合わない・・・これでアークテリクスのマウンテンパーカーの購入は断念しました。
でも、本格アウトドアウェアを着るのは、それなりのバックグラウンドを持った人・・・って、至極当然な棲み分けが出来てきたのも、この頃だったと感じます。つまり、ファッションだけでハイスペック本格ウェアを着るのが、おしゃれに思えない空気が出てきたってワケです。
こうして、現在みたいに本格アウトドアブランドがタウン仕様のコレクションをリリースしたりして、進化し、枝分かれをしてきているのです。
でも、着方を指定されるのも、スタイリング的、発掘的には、面白みが欠けちゃうんですけどね。
こうして、アークテリクスがアウトドアブランドのハイテク化を牽引して来たって話でした。
今回、2DOORSさんからアークテリクスのバックパックを提供してもらっていますが、今年から、さらに価格も上がっているので(旧年だけど珍カラーですから)チャンスですよー
ではでは・・・