【this and that】カジュアルに穿けるレザーパンツが激減している話
もともと、レザーパンツをファッションで穿こうというのは、敷居が高いといいますか、どうしても高額だったり、蒸れて、履き心地も悪かったりなど、なかなか手を出しにくいアイテムといった印象です。
やはり機能面で理にかなっているのは、バイクに乗ったり、まぁこれは無いと思いますけど、治安が悪過ぎて、いつナイフで刺されるか分からない環境くらいでしょう。これ、落合信彦の本に実録として書いてあったんですけどね・・・
そんなわたしも、レザーパンツを穿いていた時期がありました。もちろんファッションなんですが、それはバンソン製の分厚い牛革のレザーパンツでしたから、もう膝部分が全く曲がらないんですね。無理に曲げようとすれば、血圧がおかしなことになりそうなタフさです。そのため床に落ちたものを拾うときは、キリンが水を飲むように開脚させて拾っていました。「ファッションは我慢」と、言われていた頃の話ですね。
その後も、レザーは人気ある素材でしたから、雰囲気とレザーの組み合わせさえカチッとハマれば、良く動きました。たとえば、スウェードでショーツを作ったときは売れましたね。今は人気なさそうですけど・・・夏は暑すぎますからね。
さらに、最近だと、コンフォータブル(着心地の良い)洋服が主流ですし、動物愛護的な意味でもレザーを避ける人がいるし、何より、レザーの価格、縫製工賃など、生産にかかるコストが本当に高すぎます。いま、インディペンデントなブランドがレザーパンツなんか作ったら、ちょっと前のハイブランドな価格になっちゃいます。ホント!
・・・と、ネガティブな話を出し切ったあとで、やっぱり、レザーパンツには魅力が詰まっています。身につけた人にだけ、理解される良さといいますか、肌にフィットする感じや、徐々に育っていく感じ、そう、他のパンツに比べて愛着を ”感じる” 度合いが違いますね。
そうなると、採集(gathering)するのが一番、 今回ピックアップしたのがBROWN by 2-tacsのホースハイドパンツです。
こちらは、何年前のものでしょう? 馬革のヌバック素材のパンツです。
シルエットはスリムでありながら、ガゼットが入っているので、可動域は確保されています。馬革のレザーパンツとしては少し薄目ですが、馬革らしい芯のある感じは維持されたまま、軽量化に成功しています。ヌバック素材もしっとりとビロードのようです。そのため、肌触りがとっても気持ちが良い・・・
また、見てわかる通り、前後に余計な切り返しがありません。革を普通の生地のように大きく使用しています。一方で、ところどころに革本来の表情と言いますか、ムラが見えますが、これぞ天然素材を使用している証拠、自分だけの刻印となるワケです。
保管状況も関係していますが、ギャザラーズのサイトでは、ボタンによる凹みや、オリじわなどをあえてそのまま撮影していますけれど、穿いていくうちにすぐに馴染みますので、これ込みで、ご自身と経験を共にしてみてください。
2-tacsのパンツが好きな方には、今こそ押さえておきたい1本かもしれません。ポケットの仕様やガゼット、股上の深めなシルエットはベーシックパンツからの系譜を感じます。デザイナーの本間氏も「今後、絶対に作れないよね」と申してますからね。
たしかに、パーツ少なめのホースレザー、微妙なカラー(これはオリーブとのことですがブラウンにも見えますね)のヌバック素材で、軽くてしっとり柔らかい・・・そんなオリジナルパンツ、今では実現不可能&リーズナブル価格です。
これは、長〜く穿けるパンツなので、直接The Fhont Shopまで足を運んでみてください。
そう思うと、現在、レザーパンツを作っているブランドこそ、さらに高次の覚悟を感じます。この状況で、惰性で作るなんてことは絶対にありませんからね! 今も、実はレザーパンツの"買い時"かもしれませんYO。
ではでは・・・