【this and that】これぞ万能!なベストは ”ザ・BROWN by 2-tacs" なギミックが満載な話
若き日にこの手のVネックなベストに出会っていたら、未だに愛用していただろうなぁ〜って1着、BROWN by 2-tacs・・・その名も「オールマイティベスト」です。
シャツの上に着てもよし、Tシャツの上に合わせてもよし、おしゃれしたい時、カジュアルに決めたい時、なんでもOKですよね。まさにオールマイティです!
このベストを見て思い出したのが、かつて伊製のマリオマッテオっていうメーカーのVネックなベストがあったのですが、それを買って、そのオールマイティー感が嬉しかったんですよね!
確か伸縮性のあるしっかり目のカットソー生地だったと記憶しています。それほど高くなかったので、勢いで買ったと思いますね。それを気に入って着てました。当時はニットベストばかりでしたから、裾がボックスになった何てこと無いベストって、意外と新鮮だったんですよね。Tシャツに合わせると、それがもう、爽やかな雰囲気を感じるといいますか・・・
そんなわたしの記憶を彷彿させてくれるのが、このベストです。
画像の通り、遠目だとシンプルですよね。
しかし、よく見ると、ただただシンプルなベストではありません。随所にBROWN by 2-tacsらしさが感じられます。あくまで、わたしの見解なんですけど、この "らしさ" とは、終焉間近のサイケデリック感です。70年代後半の名残りみたいなヤツですね。アーリーアメリカン調なワークスタイルだったり、ヒッピームーブメントの終焉です。ここの部分は、わたしの中にブックマークされているので、本能的にグッと来てしまいます。
まず、肩や脇はワークウェアに見られるトリプルステッチになっています。ペインターパンツなどの少し薄い素材に強度を持たせるワークウェア的な縫製です。ステッチワークを見ると、ワークテイストが強い印象ですが、裾の処理はカットオフされ、短めのフリンジとなっています。このワーク感と、フリンジの脱力感のミックスは、まさにピンポイントです。胸にある小ぶりな丸ポケットも同じ系譜ですね。
ただ、ここで素材が70sだとまんまですけど、ここは品を持たせているのが2-tacs的 らしいこなしです。こちらの生地も一見ワーク風な、白いネップが入ったデニムのような素材に見えますが、シルクとウール主体の上品な生地で、抑えた光沢感としっとりした手触りです。それでいて、TC(綿とポリエステル)がスパイス的に組成されているから、しっかり、かつ、カジュアルな風合いもある、多面性のある面白い素材です。だから、合わせ次第で上品にもカジュアルにも見せられるんですね。流石、スタイリスト本間氏のブランドです。
別生地で構成されたVネック部分も、よく見ると広めのトリプルステッチだったり、ラウンド気味の襟元など、元ネタがあるはずですが、全面に打ち出してないため、スタイルングの邪魔にならないのも特徴的ですね。
たくさんのエグ味を混ぜてるのに、仕上がりは至ってシンプル、複雑さも全く見せないし、感じさせない。こうした細々としたポイントに気がつくと、ハッとさせられて「楽しい〜」って思います。
BROWN by 2-tacsを色々感じてみるのは(まぁ勝手な見解なんですけど)楽しいですね。このベストは他の色だったり、DIYキットも販売しているので、また機会があれば、取り上げます。