備忘録【10】:「失われた世代」からのローファーが欲しくなった話
ようやくここからが触れたかった話です。
その前に、結論を先に言ってしまいます。
それは、「ロストジェネレーションを想ってローファーが履きたい」ってこと!! です。
今回は、そんなお話をつらつらと綴ってまいります。
前にも触れましたが、親友がわたしにロストジェネレーションの背景的な話をしてくれたことで、このジェネレーションにドハマりしてしまったワケですが、その話のひとつに、彼は「ロストジェネレーションの象徴的なアイテムはローファーだ」との説があります。
第一次大戦後、世の中がぐちゃぐちゃで、色んな価値を見失った世代が、つまりロストしたジェネレーションです。ローファーは、その当時、当たり前だった紐靴(当時の慣習)へのアンチとして、若者の間で人気となったらしいです(もちろん1930年代頃ですから、スニーカー文化なんてありませんからね)。
でも、この説は親友からの話以外、聞いたことがないんです。大学の講義で教授が話していたから信ぴょう性は高いでしょうが、わたしの心情としては、物質(アイテム)が残っていないファッションの史実は真偽問わずで、それはロマンです。今回のローファーの話も真偽は不明だけれど、それを想って楽しめばいいと考えていますから問題ないでしょう。
そもそも、この話のロストジェネレーションが、作家や詩人だけなのか?当時の若者全般なのか?、どこを指しているのか曖昧ですからね・・・
紐履からローファーになった話をわたしが気に入っているのは、わたしの中学時代に靴の紐を抜き取って履くムーブメントがあって、(全く違うのだけれど)勝手に親近感を感じているからです。
地元で紐を取って履いていたのはトップサイダー型のデッキシューズです。わたしの場合、大井町の商店街で買った謎メーカーですが、中学3年間はこの紐なし靴スタイルで学校生活を送っていました。どうやら紐を取る行為が、規則やルールみたいな何か縛られているものへの脱却だと感じているのでしょう。
実は、この考えは、いまだわたしの中に残っていて、洋服や身につける物で、不要に感じると、す〜ぐチョップド(排除)したくなってしまうのです。
よう本題の「ロストジェネレーションを想ってローファーが履きたい」の話です。
それは登山用のビブラムソールを履かせたカーフのオールデンのローファーです。ソールは後からのカスタムしたいなぁと思ってます。
ある時から「こんなローファーあったら履きたいなぁ」と、思っているワケなのだけど、振り返ってみたら、わたしの経験が影響していることを思い出しました。
そのひとつは、わたしが初めて履いたローファーがビブラムソールだということ、これは潜在的に初めて履いた良い印象が残っていたんですね。そのローファーは、高校生一年生のとき、友達のクチコミで知った御徒町の靴屋(問屋みたいなところ)で買いました。この店はイギリスブランド時代の英国製ホーキンスや、珍しいドクターマーチンなど、欧州から輸入された靴がラインナップされています。そのローファーもスペイン製でした。ただ、それ以降も(山仕様の)ビブラムソールのローファーって見たことないんですね。
その翌年(高校二年生のとき)、広尾の多田スポーツというお店でオールデンのローファーが3万円台で売っていることを知りました。全体的に安くてナイスなラインナップの(当時の)多田スポーツなのですが、オールデンは高校生にしては高価で、この靴だけ飛び抜けて高くて後光が差しています。欲しい欲しいと思いつつ、その時は予算的にも、ローファーの元祖バスウィージャンを買ってしまうのですけどね(これが、わたしが2足目に履いたローファーです)。
あれから2年とちょっと、わたしがアパレル業界に入り、当時6万8千円もするオールデンのローファーを買いました。値段の違いは、多田スポーツのは牛革(カーフ)、値段が高い方は馬革(コードバン:お尻の革です)と判明し、これは働きはじめて知った事実でした。
そのローファーですが、当時は大きめを買う文化がなくて、ジャストサイズを買ってしまいます。そのとき販売している幅はDワイズ(標準)のみで、甲高のわたしには小さめです。しかし、それでも絶対にすぐ履きたいんですね。だから迷わず購入してしまいました。そんなだから、終日このローファーを履いていると甲は赤くてグニャグニャになり、痛さも尋常ではありません。座敷のある居酒屋へ行った日には、足がむくんでローファーを履き直すのが地獄の苦しみでした。
かつて、契約の業者にソール交換をお願いしたとき、「高橋くんの靴、ソールの糸をチョンと切っただけで、破裂するように分解して、びっくりしたよ〜」って、お直し屋のオジさんが言ってたほどです。
前回苦痛でしかなかったオールデンのローファー、自分に合ったサイズにした場合、どのような履き心地なのでしょう?元々、ハンディキャッパー用の靴だと言うから、さぞフィットするのだろうと信じてます。ちなみに、その後に購入したハイカットのモンクストラップは少し大き目でした。その履き心地はと〜っても良かったんです。
また、牛革(カーフ)を履きたいと思うのは、イメージ的に馬革(コードバン)より革が柔らかいと思ったのと、ケアをコードバンほど気にしなくて良いからです。コードバンしか履いたことしかありませんが、雨やキズなどケアが大変でした。これぞ、ローファー(ずぼら:怠け者)なのでしょう。
もし、このローファーが履きやすかったら、後年、この靴を履き続けられたらいいなぁ〜と思います。
そのほかにも、持ってないけど、欲しいなぁってアイテムが何種類かあるんです。それらは、忘年録として書き綴ってまいります。もちろん、手にしたら手にしたで、感想を述べれればと思っています。
ではでは・・・