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備忘録【11】:ネイティブアメリカンになりたかった話

ネイティブアメリカンになりたいなぁと思っていた時期がありました。確か、24歳、25歳頃です。当時はネイティブアメリカンのファッションも流行っていましたし、おそらく時流に飲まれていたのでしょう。

現在、ネイティブアメリカンになっていないことが、まぁ、当時のわたしの本気度だったと感じますけど・・・今日はそんな備忘録です。

 

きっかけは、友達から勧められた「ローリングサンダー」という本です。これは界隈のインディアン好きアメカジ人のバイブル的な本で、この本に心を打たれて「俺にはネイティブアメリカンの血が流れているんだー」なんて感じる人も多かったんじゃ無いでしょうか? そんな心を滾らせて(たぎらせて)くれる内容です。もちろん、当時のわたしも(例に漏れず)この本で心が滾りました。

特に本書で心打たれたのが、彼らの精神性です。「ローリングサンダー」を一気に読み切ってからは、この精神性を身につけて、少しでも同化したいと思って、ネイティブアメリカンに関する本(歴史や神話、小説、思想など)を読み漁ります。

一年ほどすると、新たな関連書物も近所の本屋で見つけることも出来なくなって、夢中でやってきたインプットもここでひと段落です。

 

(こうなると)あとは、現地に直接行って何かしらの儀式を受けようと考えるのが自然な流れでしょう。インターネットも普及する前だから、情報は今まで読んだ書籍を元に計画を夢想します。

そんなやりたかった儀式のひとつはサンダンスです。これは中央に立てた棒からロープを伸ばして、その先に付いたかぎ針を胸の筋肉に刺し、数日にわたり棒の周りを踊り、肉がちぎれるまで踊るといった儀式です。

もうひとつは、ビジョンクエストです。これは毛布ひとつ持って近所の山に篭ります。飲まず食わずで数日過ごして、空腹と不眠でフラフラになって幻覚を見たらそれを長老に話す(メディスンマンだったっけかな?)。すると、「お前のインディアンネームは****だ!」と告げられるというもの。

ほかにもペヨーテ(幻覚作用のあるサボテン)を食べて何かを見るって儀式もあったような・・・

 

しかし、こうした想いは、現地で儀式を受けて、溶け込んで、インディアンネームをもらって、ここが俺の故郷なんて語っちゃって・・・そんな不埒な結果も期待していましたから、もちろん実現しませんでした。まぁ、移住したとして、ネイティブアメリカンの居住地で暮らしていけるのか?と聞かれたら、その覚悟も無かったでしょう。

加えて、その頃は仕事も脂が乗っていました。現状にやり甲斐も感じていました。それを理由にホメオスタシス(現状維持したい気持ち)が強く働いて、言い訳をたくさん用意しては、この人生の分岐点をやり過ごしたのです。

その後、別の転機が訪れて、この想いが別のカタチで(わたしの求めるサイズで)実現するのですが、それは機会があるときに綴りましょう。

 

 

あれから四半世紀が経過しました。

いまとなっては、たくさん読んでいた本の詳細は忘れてしまいました。でも、憧れる気持ちが削ぎ落ちて、ネイティブアメリカンの核なる考えは、当時より自然な感じで心に定着していると感じます。

いまの自分は、昔ながらに持っていた考え(神道とも通じる)アニミズム(モノに魂が宿るという考え)を持ちながら、母なる大地に暮らしています。もうネイティブアメリカンへの敬意はあっても、憧れはありません。どちらかと言えばネイティブジャパニーズですけど、その区分けすら、意味をなさないと感じています。

 

そういえば、当時は「ローリングサンダー作り話説」なる噂も囁かれました。それでも、わたしは信じています。まぁ、わたしにとって、真偽はどちらでもいいんですね。きっかけを作ってくれたこの本が「ありがたい」ということです。

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